愛の戦士キューピーハニーの日記Neo

生涯現役、生涯前向き、生涯楽しむ心、生涯自分磨き

好きだから、前に進んでいける

私が看護師の仕事をする中で、印象に残っている患者さんについて書く。
2人の肺癌患者さんだ。AさんとBさんとしておく。どちらも70代男性。
ほぼ同い年だった。
同時期に手術を受けられ、術後の看護をさせてもらった。
Aさんは、登山と写真が趣味で、写真はいつもコンクールで入賞する腕前だった。美しい景色の写真を何枚かいただいた。体格もしっかりしていて、見た目とても若々しい人で、話題も豊富で、はつらつとした人だった。
Bさんは、年齢相応という感じで、特に個性を感じる人ではなかった。
手術当日の夜は、術後不穏といい、普段しっかりした人でも、痛みや環境変化、ストレス、薬剤の影響などが原因で一時的な精神障害を起こすことが多い。
Bさんがまさにそうで、何度もベットから降りたり、認知症様の症状を起こされた。
ところが、Aさんのほうは、肺の部分切除という侵襲の大きい手術をしながら、「すまないが、うがいをさせてもらえるかな。」「隣の人は大変だね。」と一晩中いたって紳士的だった。
しかも、暗がりで私の顔もあまり見えていなかったと思うが、翌日の朝、しっかり憶えてくれていて
「あんたには、世話になったな。ありがとう。」とお礼を言ってくれた。これにはこちらが恐縮した。
痛い時やしんどい時というのは、自分自身で精一杯となるものだし、いらいらして周りにあたりたくなったりさえするものだが、こうゆう患者さんはめずらしかった。
その後、何クールか抗がん剤治療のため入院されたが、Bさんがどんどんおじいさんという感じにやつれていくのに対して、Aさんは、治療を終了すると、
「治った!もう、あんたらの世話にはならんよ。ここには来んぞ。じゃあ!」と、さわやかに挨拶された。
この人の奥さんも出来た方で、「もう一度主人に登山をさせてあげたいんです。よろしくお願いします。」と本人のいないところで医師に訴えていた。
何が言いたいのかというと、やっぱり、好きな趣味があり、自分の中に夢や理想がある人というのは、どんな時も、物事を前向きに捉える力があるということ。病気などのマイナスの事柄に、人生上の一つの事柄だけに、囚われてしまうということがないのだ。
同じ人生でも、大きな違いが出てくるということ。
同じ生きるのなら、私もそうしたいと思った。