愛の戦士キューピーハニーの日記Neo

生涯現役、生涯前向き、生涯楽しむ心、生涯自分磨き

黄金の魂〜読書感想文〜

アクアリストさん、大切な本を貸していただきありがとうございました。
遅くなりましたが感想です。

黄金の魂 小川竜生 ハルキ文庫
あらすじ
高校時代に交通事故で右足を失いながらも、不屈の精神で逆境を乗り越え、高校教師となり、幸福な家庭を築き上げた勝沼流平。
ところが、ある日突然、阪神大震災で母と妻を失う。妻は自らの娘をかばうように覆いかぶさり絶命する。母を失った娘祥子はショックで失声症に。それがもとで祥子はすさまじいいじめに遭う。学校すらも敵となる。
父として、娘の心の傷を理解していても、学校にかわりに行ってやることもかわりに生きてやることもできない。祥子自身が解決し乗り越えていくしかない。
流平は、娘と一緒に闘うために、不可能を可能にするために、義足の体で宮古島トライアスロンに挑む。

物語はフィクションではあるが、リアリティーに富んだものだ。実際皆生の応援に行ったときも義足のトライアスリートはいた。
私が、心に残ったシーンはここです。
陸上部コーチである流平に対し、自惚れた新入部員の津村が、
「先生右足義足でしょう。そやからレース経験があまりないんと違いますか。僕はレース経験の豊富な人に教えてもらいたいんです。」とバカにしてかかったとき。
才能のある津村を伸ばしてやろうと支えてきたメンバーの名誉を守るために、お互いの闘志が剥き出しになったときのきつさをわからせるために、流平は5千メートルの勝負に挑む。
津村はバカらしいと言うが結局、流平と人の好い先輩部員の竹田(後に不幸にも震災で両親を亡くし支援が得られず妹とともに自殺するのだが)が勝つ。
祥子がいじめに声を殺して耐えるところ、無言で父のランニングに自転車で伴走するところ。
流平がレース中、義足のジョイント部が擦れて血が噴出しながらも、ゴール目指して走るところ。まるで自分の身に起こっているように感じた。
競技員が、「やめる勇気も必要だぞ。」と言うのに対し、サポートしてきたプロトライアスリートの道上が、
「その男にさわるな。絶対に止めるな!」と泣きながら叫ぶところ。
這いながらゴールする父に「パパ。」と祥子の声が出る。


つまり、テーマは「ハンデ」なんですよ。ハンデに魂が勝つ。
あたりまえに、簡単に出来ることなら感動はない。

私は女です。
運動が苦手です。
立派な大義名分があるわけではない。
レーニングの時間をやりくりするのは容易ではない。
しかしこんなものはハンデのうちには入らない。
人生からみたらちっぽけなもの。
タフになりたい。
どんな攻撃にあっても、どんな状況にあっても、自分を見失わず、前を向いて生きていきたい。

あとがきより
「人は日常に溺れて自分自身と競い合ったり、自分を乗り越えようとすることを忘れてしまう。日常に溺れて燃え上がる何かを失ってしまう。」

やりますよ。自分なりに十分なトレーニングを積んだのち、時間はかかっても必ず、ロングのトライアスロンを完走します。自分を克服します。